福岡県の就労系事業所向け|年度末に確認しておきたい実務チェックポイント

年度末が近づくと、「特に大きな変更はないけれど、このままで大丈夫だろうか」と気になることはありませんか。


就労継続支援A型・B型事業所では、人員配置や加算の要件、研修の実施状況、生産活動会計の整理など、日々の運営がそのまま指導の対象になります。普段は問題なく回っているつもりでも、書類との整合が取れていないケースは意外と少なくありません。


最近は、虐待防止体制やBCP、処遇改善加算の支給状況などについても、より丁寧に確認される傾向があります。年度替わりを前に、一度落ち着いてチェックしておくことで、次年度のスタートがぐっと安心なものになります。


この記事では、福岡県内の就労系事業所が年度末に確認しておきたい実務上のポイントを整理してみます。


年度末に確認しておきたい主なポイントは、次のとおりです。

人員配置は実態と一致していますか?


人員配置については、日々の勤務表や体制表が整っているため「問題はない」と考えている事業所も多いと思います。

しかし、常勤換算の計算方法や兼務職員の実態、管理者・サービス管理責任者の勤務状況などが、実際の勤務実態と一致していないケースは少なくありません。

特に注意が必要なのが、福祉専門職員等配置加算などの人員要件に基づく加算です。年度当初は要件を満たして取得していても、職員の異動や退職により要件を満たさなくなっている場合があります。

例えば、福祉専門職員等配置加算が算定できなくなると、処遇改善加算Ⅰの算定要件であるキャリアパス要件Ⅴを満たさなくなり、処遇改善加算Ⅰの算定もできなくなります。人員体制の変更が、他の加算の算定可否に直結する点には十分注意が必要です。

年度末の段階で、人員配置と加算の整合が取れているか、改めて確認しておくことをおすすめします。

また、人員配置の変更届を提出していても、それに伴う処遇改善加算の算定区分変更届の提出が必要となる場合があります。人員体制の変更と加算の算定区分が連動していることを十分に意識していないと、整合が取れていない状態になることがあります。

自治体によっては加算担当部署から確認の連絡が入ることもありますが、すべてのケースで事前に調整が入るとは限りません。
人員変更の際は、関連する加算への影響も併せて確認しておくことが重要です。

処遇改善加算の算定要件と支給状況は一致していますか?

処遇改善加算は、多くの事業所が算定している加算ですが、「計画書を提出しているから大丈夫」と安心してしまいがちな項目です。

まず確認しておきたいのは、現在算定している区分の要件を引き続き満たしているかどうかです。

特に処遇改善加算Ⅰを算定している場合は、キャリアパス要件や職場環境要件に加え、福祉専門職員等配置加算の算定状況などが連動しています。人員体制の変更により要件を満たさなくなっていないか、改めて確認が必要です。

また、処遇改善加算Ⅰ・Ⅱを算定している事業所では、職場環境等要件(28項目)のうち実施する取組について、「見える化」(ホームページや障害福祉サービス等情報公表システムへの掲載)が求められています。

特に年度途中で新たに加算を取得した場合、掲載対応が漏れていないか確認しておくことが重要です。

さらに、計画書上の配分内容と、実際の支給額が整合しているかも重要なポイントです。処遇改善加算は、計画・実績報告だけでなく、実際に職員へ適切に支給されているかどうかまで確認されることがあります。

  • 配分ルールは明確になっているか
  • 給与明細で支給内容が確認できる状態か
  • 支給方法に不明確な点はないか

年度末は、計画と実態が一致しているかを見直す良いタイミングです。

補助金による支給と処遇改善加算の整理はできていますか?

今年度は、人材確保・職場環境改善補助金(福岡県では「福岡県障がい福祉サービス事業所勤務環境改善促進費補助金」)により、一時金等を支給した事業所も多いのではないでしょうか。


補助金の実績報告は1月末までに提出済みである場合が多いと思いますが、報告を行っていることと、実際の支給内容が整理されていることは必ずしも同じではありません。

この補助金による支給と、処遇改善加算による支給は財源が異なります。支給額をごっちゃにせず、どの支給がどの財源によるものかが明確に説明できる状態にしておくことが重要です。

例えば、

  • 給与明細上の項目を分けているか
  • 同一項目で支給している場合でも、内訳が説明できるか
  • 会計上も区分が明確になっているか
  • 実績報告書の金額と実際の支給額に整合があるか

といった点は、年度末に改めて確認しておきたいポイントです。

適切に計算・管理している事業所であれば大きな負担ではありませんが、支給額の根拠が曖昧なまま運用している場合は、今のうちに整理しておくことが将来的なリスク回避につながります。

研修・訓練・BCPの整備状況は確認できていますか?


虐待防止、身体拘束適正化、感染症対策、BCPなど、事業所にはさまざまな研修や訓練の実施が求められています。


「実施している」ことと、「求められる内容や頻度を満たしている」ことは必ずしも同じではありません。年度末には、法令や通知で求められている実施状況を満たしているか、改めて確認しておくことが重要です。


特に確認しておきたいのは、次の点です。

  • 年間研修計画が作成されているか
  • 実施日、内容、参加者が記録されているか
  • 欠席者へのフォロー(資料の配布や個別説明など)が行われ、その記録が残っているか
  • 避難訓練の実施内容と記録が整理されているか
  • BCPが作成されたままになっておらず、定期的に見直されているか

BCPについては、研修や訓練の実施に加え、実態に合わせた定期的な見直しが求められています。計画と実際の運用が一致しているかも、あわせて確認しておきたいポイントです。

紙でも電磁的記録でも構いませんが、運営指導の際に速やかに提示できる状態に整理しておくことが重要です。

個別支援計画・モニタリングの記録は整っていますか?

個別支援計画の作成やモニタリングは、日常業務として行われているものですが、運営指導では必ず確認される項目です。

特に確認しておきたいのは、

  • アセスメントの記録が適切に残っているか
  • 個別支援計画の作成・同意日が明確か
  • モニタリングの実施時期が適切か
  • サービス担当者会議等の記録が整理されているか

実施していることと、記録として確認できることは別です。年度末に一度、計画関連書類の整合を確認しておくと安心です。


変更届・体制届の提出漏れはありませんか?

年度末は、人員の異動や役職変更が生じやすい時期でもあります。

管理者やサービス管理責任者の変更、勤務形態の変更、加算区分の変更などがあった場合には、変更届や体制届の提出が必要になることがあります。

「内部では把握している」状態でも、行政への届出が未提出のままになっているケースは少なくありません。特に人員配置の変更が、処遇改善加算や福祉専門職員等配置加算などに影響していないかは、あわせて確認しておきたいポイントです。

年度末の段階で、

  • 管理者やサビ管の変更がなかったか
  • 加算区分の変更が生じていないか
  • 体制届の提出内容と現在の実態が一致しているか

を改めて確認しておくことで、次年度のスタートを安心して迎えることができます。

まとめ

年度末は、帳尻を合わせるための時期ではなく、日々の運営と書類の整合を改めて確認する機会です。

人員配置、加算の算定要件、処遇改善の支給状況、補助金の整理、研修や訓練の記録など、ひとつひとつは難しい内容ではありませんが、複数が連動しているため見落としが生じやすい部分でもあります。

次年度を安心してスタートするためにも、いま一度、実態と書類の整合が取れているかを確認してみることをおすすめします。

福岡県内で就労系事業所の運営や指定申請、加算の整理等でお困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください。